お年を召していらっしゃるから、、、
5月も終わろうとしている。今年はまだシューマンの「麗しき5月に」を聴いていなかった。
気候が不順で、もう夏かと思うような日があるかと思えば、肌寒い雨が続いて、
いつもの年のような青葉薫る5月ではなかった。
毎年この時期になると聴いていたあの曲も忘れてしまった。
元気なときは、寒さで凍えていた心と身体を一気に開放するように、音楽でも本でもむさぼるように聴いたり、読んだりした。
それができなくなってしまった。
歳をとるということは悲しいことだ。
数ヶ月くらい前から、たちくらみと、めまいに襲われるようになった。
どこの医者に行っても、原因はおろか療法もみつからない。
第一、病名が分からないんだからどうしようもない。
挙句の果ては、「お年を召していらっしゃいますから」で、終わりだ。
そうなのだろう。加齢からくる病気だとは当人も承知している。
けれど、医者になった以上、患者の身になって治す努力をするのが使命だろう。
世間で耳にするように、金もうけに没頭する医者が増えてきてしまった。テレビで見たような「神の手」と称される名医もこの世に存在するのだろう。不幸なことには、私は一度もあったことがない。
「ヒポクラテスの誓い」を拳拳服膺(けんけんふくよう)してもらいたいものだ。
などと、悪態をついてうさを晴らす。