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80歳を越えた。身体が動かなくってきた。しかし思いは自由に羽ばたく。世界を駆け巡る。

もったいぶってイライラさせられる使ってはいけないPC用語集

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  The New York Times のコラムニスト、David Pogueの文章を紹介する。
以前にも、彼のコラムから抜粋したものを紹介したが、今回はほとんど原文を生かした。
翻訳には苦労した。何しろ私はIT技術者ではないし、今のアメリカ語、技術用語、とくに俗語は難解だ。
アメリカに住んでいないから。

 Pogueの文章を読んで、本場のアメリカでPC、IT用語の混乱があり、その統一を求める意見があることを、初めて知った。
前回も書いたが、日本ではこの業界の用語は、カオスの状態になっている。
公の機関や団体が、この言葉を使おうという標準化がされていないのだ。個人が使い始めたカタカナ語がいつの間にか普及してしまったというのが実情だ。だから変なカタカナ語があふれていて、そのことがPCを初めて触る人たちの大きな障害となっている。用語が理解できないのだ。
何年もPCを触っていても、わからないことだらけだ。試しに、本屋で売っているPCの雑誌を立ち読みしてごらんなさい。そこで使われているカタカナ語の何割を理解できますか?

 翻訳の責任はすべて私にある。私の誤訳に対する訂正は大歓迎だ。
重箱の隅をほじくるようなコメントを待っています。

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使ってはいけない専門用語

David Pogue 

テクニカルライターは、どうしてこんなに多くの業界専門用語を使いたがるのだろう。私には理解できない。おそらく、自分を権威付けるためではないか。このたぐいの人は、他人に知識をひけらかしたがる。または、怠惰なのかも。やさしい言葉を探し出して書くことが面倒くさくて、煩わされたくないのかもしれない。あるいは、単に習慣なのかもしれない。彼らは日がな一日、オタクたちと話しているので、業界以外の一般の人達向けにモノを書くときに、思わず専門用語を使ってしまうのかもしれない。

 私は現在、初めて一般向けに「もったいぶってイライラさせられる使ってはいけない用語集」を書いている。私は同業者より、多くの人に自分の文章を読んでもらうために、やさしい言葉で書くようにつとめてきた。その結果、これまで決してライバルの優秀なライターに、これらの単語を漏らしたことはない。しかし、この時点で、そのことを忘れようと思う。一般に解放しようと思う。どんな些細なヒントになることでも、それがより明確な文章になるのなら、そのようにしたほうが良いと思う。

Content 
コンテンツ:ウエブ・コンテンツともいう。もし、あなたがウエブ・ページを指しているなら、「ウエブ・ページ」というべきだ。それが音楽なら、「音楽」といえば良い。IT業界以外の人たちはコンテンツとは言わない。あなたのプレーヤーにはどんな音楽が入っているの?とか、あなたはウエブサイトで何を見ているの?というだろう。

Device 
デバイス:おかしな言葉だ。ケータイ電話会社は「cellphone」(ケータイ、スマホの意)とは、決して言わない。彼らは、「デバイス」という単語を使う。意味不明の文章を例にとると「ユーザーはD.R.M.でプロテクトされたコンテンツをデバイスに移すことができる」。こんな文章を見たからといって、あなたはCellphone(セルフォン)という単語を使うことをやめることはない。どうもこれには訳があるようだ。最近のcellphoneは電話だけでなく、いろいろなことができる。「cellphone」はすでに新しい機能を取り込んでいるからだ。あなたがcellphoneという時、相手は、電話やインターネット、写真など多機能であることを、すでに理解している。

Dialog 
ダイアログ:「ダイアログ・ボックス」という単語は、それ自体が問題だ。本当の意味を表現していないからだ。モニターのスクリーンに現れた「メッセージボックス」が、例えば、プリントは何枚欲しいのか、あなたに指示を求めてくる。困ったことに、これに代わるものはまったくない。短縮形で「Dialog」というのは、明らかに間違った方向に向かっている。

Display 
ディスプレイ:これは名詞にもなる。“a display of fireworks” 花火大会。 また、直接目的語を示す動詞にもなる。例えば「He displayed emotion感情を表わす」。しかし、直接目的語なしには動詞として使えない。例外もある。雑誌PC Worldは、“Shows filmed in high-definition end up displaying in letterbox format.”。「高解像度で撮影したものでも、レターボックス・フォーマットで表示することになる」と書いている。レターボックス・フォーマットとは何か。花火なのか、感情なのか。これを書いたライターが求めていた言葉は、「appearing」だ。表示、表現、など。

 

D.R.M.: 
このおぞましい単語は婉曲表現がもとになっている。これは、コピー・プロテクション(コピー防止)のことだ。ソフトウエア、音楽ファイル、ビデオなどにくっついていて、殆どの人から嫌われている。このわけのわからない言葉は、「digital rights management デジタル・ライツ・マネージメント」の略。コピー・プロテクション(コピー防止)に熱心な企業が、この構想を推進している。そして、「コピー・プロテクション」と言うべきなのに、D.R.M.というわけのわからない言葉を使って、我々を欺いている。チャーリー、ごめん。(その業界にいる彼の友人らしい)。でも、コピー・プロテクションには代わりはない。我々は、スペードはスペードと呼ぶべきだ。

Enable 
ネーブル:一体この世の中のだれが「“Enable the GPS function” GPSファンクションをイネーブルしてくれ」と言うだろうか。ユーザーマニュアルのライターとコンピューター解説書の著者くらいだけだろう。「GPSをオンにしてくれ」といえば良い。

E-mail client 
eメール・クライアント: この言葉は、もともと、誰かがコンピューターにあるeメール・プログラムを、サーバーにつながっているPCにあるプログラムと区別するために作った言葉(新造語)である。しかし、あなたがその両者の違いをはっきりさせようとするのでなければ、単に、e-mail program(eメール・プログラム)と言えば良い。「eメール・クライアント」という言葉を使っている唯一のグループは、OutlookGmailの公式代理人である弁護士たちだけだ。

 

Functionality 
ファンクショナリティ 機能性: ワーオ! こんな気取った単語は嫌いだ。その上 一つの単語の中に5個もシラブルがある。あなたは本当に博識だよ。この言葉は、feature 「機能」を示す。単にfeatureといえば良い。

LCD:
私がこの言葉を嫌う理由は、何を表しているのかわからないからだ。これは、スクリーンだ。たとえあなたがカッコで囲んで、この言葉の意味を綴ったとしても、読者にはさっぱり理解できない。“Liquid crystal display? これじゃわからないよ。 一体なんのこった。

P.D.A. : 
もう一つ滑稽な用語がある。滑稽というのは、この単語を見ただけでは理解出来ないからだ。Personal digital assistant(パーソナル・デジタル・アシスタント) これって、一体なんだよ。チョット待ってくれ。これはパームトップ(手のひらコンピューター)だ。

Price point 
プライス・ポイント:何、これ?言葉で支払いができるっていうこと? 単純に、「値段、価格」って言えばいいじゃん。

URL: 
この単語は一般に使われている。が、私には我慢ならない。
Uniform Resource Locator” ご説明ありがとう。 だけど、わかんない。
私は、「ウエブ アドレス」という言葉を使う。同じシラブルの数で、しかも非常に明瞭だ。

RAM 
ラム: また現れた。脅かし無しに同じ意味を表す簡単な英語がある。「メモリー」。一語でわかる。

S.M.S:
究極の無意味な用語だ。「テクストメッセージ」といえば良い。
同数のシラブルで、意味がよく分かる。SMSでは非技術的で、聞いた人を当惑させ、誰にもわからない。

Support 
サポート: 私はたとえば「技術的サポート」などを表現する場合には、「サポート」とは言わない。たとえ企業がやっている電話相談サービスを意味していても。The laptop supports Wi-Fi and Bluetooth.「このラップトップはWi-Fiブルートゥースを搭載している」のように、動詞として使う。現代の話法のどこにも「サポート」を、この意味で使うことはない。私は、「has-持つ、offers-提供する、works with-〜と共に働く」 を使う。

USB
私はこの用語を、原稿を書くときに使う。けれど、しぶしぶ不本意で使っている。この言葉に代わる適当な言葉が見あたらないからだ。しかし、この用語は本当に嫌いな言葉だ。Universal Serial Busだということは、知ってはいるが。この単語を見ただけでは何を意味するか、誰もわからない。みんな、もっと賢明になろうよ。その用語を見ただけで誰でもわかる、たとえば、FireWireとかAirPort(アップルのワイアレス)のように。

User 
ユーザー::この言葉を使う業界は2つある。一つはテクノロジー分野で、もうひとつは不法なドラッグを扱う業者だ。コンピューターのことを書いているときに、「youあなた」に代わる名詞を探すのは難しいし、最悪でも名詞の「the customer顧客、お客様」などを使い、それによって文章を読みやすくできる。でも、「ユーザーは彼、あるいは彼女の好みで、この機能性を除去することができる」と言う代わりに、「あなたはこの機能を止めることができる」といったほうがはるかにわかりやすい。意味が明瞭になるだけではなく、「彼や彼女」がPCを操作しやすくなる。

Wi-Fi 
ワイファイ: 私はこの言葉を時々使う。歯を食いしばるような発音をしながら。この用語はよくない。何を意味しているのかわからない。
人は「ワイアレス・フィデリティ」を表すものと捉えている。しかし、ワイファイ・アライアンス(ワイファイ同盟)はブランド戦略のためにある団体と契約したのだが、彼らは、この言葉にはなんの意味もないと言っている。
私はできるだけ「ワイアレス・ホット・スポット」と呼んでいる。なぜなら、その全体像を示す代わりの言葉がないからだ。(Bluetoothブルートゥースはその技術的な機能が伝わらない。しかし、少なくとも、ワイファイよりは良い。多くの戦闘的な部族を一つにまとめたデンマークの王様の名前を付けたことを知れば、その意味を忘れることはないだろう。)

最後に、「ポウグの使ってはいけない専門用語辞典」のことを話そう。
みなさんが自分で著作をはじめるとき、この辞書を利用してください。無料でみなさんに開放しています。私からのプレゼントです。

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David Pogue

David Pogue, personal-tech columnist for The New York Times, has been writing a Thursday column since 2000. Each week, he also contributes an e-mail column and an online video. In addition, he writes a blog called Pogue’s Posts, which won a Gerald Loeb award for Distinguished Business Journalism in 2010.
David is also an Emmy award-winning tech correspondent for “CBS News Sunday Morning,” a monthly columnist for Scientific American, and the host of a series on technology on the PBS program “Nova.”
With over three million books in print, David is one of the world’s best-selling how-to authors. He is the author or co-author of seven books in the “For Dummies” series (including Macs, Magic, Opera, and Classical Music). In 1999, he started his own line of complete, funny computer books, the Missing Manual series, which is now owned by O’Reilly Media and includes over 110 titles.