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80歳を越えた。身体が動かなくってきた。しかし思いは自由に羽ばたく。世界を駆け巡る。

使いやすくて、メンテナンスフリーのOSがほしい

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最上部左3枚は英語版Windows 
Windows95\98\2000\XP

 私はこれまで、MS−DOSからはじまり、GUIを実現した初代Windowsから現在のWindows 7まで使ってきました。(Vistaは使ったことがない。)
高額なお金を払い、最新バージョンへの更新を続けてきました。 ちょっと大げさに云うと作業をする時間よりも、OSの更新と修復に大きな時間を割いてきた様な気がします。

今使っているWindows 7は、かろうじて安定しているが、それ以前のXPなどは、フリーズしたり、思いがけない動作をしたり、特定のアプリとの相性が悪いなど、様々なトラブルに見舞われ続けてきました。 この文章を読んでくださる方の中にも、クリーン・インストールを簡単にできるように、インストール用CDを作ったり、ドライバーを全部集めたUSBを用意した経験のある人も多いのではないかと思います。


 なぜこんな使いにくいものを、私達はお金を払って唯々諾々と受け入れてきたのでしょうか。
 OSのトラブルを修復するための本が多数出版されているなんて、他の電気製品にはないことですね。 また、この手のトラブルを解決する技をを身につけつけることが、PCユーザーの必須条件だなんて風潮があるのも、おかしなことだと思います。

 これはひとえに、Windowsよりユーザーフレンドリーuser friendlyなOSを開発することが出来ず、Microsoftの市場制覇を許してきた業界にその責任があるのではないでしょうか。 この業界は競争原理が働いてこなかったと言っても言い過ぎではないと思います。

世界中のWindows ユーザーは、誠に忍耐強い。 使いにくさや、不安定さなどに怒りの声を上げることなく、黙々と耐え忍びながら使っています。 本当は、中東や北アフリカで起こっているような、大デモを起こし抗議ののろしを上げたいのですが。 PCユーザーは、紳士淑女ばかりです。


 Linux
の発明以来、その発展と商品化に大いに期待を寄せてきましたが、これも、いまだに私のようなPCユーザーが喜ぶような製品には仕上がっていません。
Ubuntuを使ったことがありますが、それを使ったのはXPがフリーズして動かなくなり、ハードディスクからファイルを救出するためでした。常用はできません。


 そこにGoogleChromeを出してきました。 何か画期的な製品なのではないか。Microsoftの独占を打壊すような、優れた製品を出してくれるのではないか、と大いに期待しています。

 

 Windows PCを使うためには、パソコン教室に通うとか、解説書を買ってきて読むとか、先輩や専門家にたずねるとかしなければ使えないような状態が続いています。

OSとは、いったいそんなものなのでしょうか。
  
 
 すべてこの世の中が、Windowsの現状を是認しています。 個人にしろ企業にしろ、ユーザーからの不満の声が十分に届いていないのでしょう。 哀れなのは、Windowsよりも使いやすく、優れたOSの開発に情熱を注ごうとする会社も、開発者もいないことです。 すべて、Microsoftの意のままのように見えます。

いや、アメリカの西海岸(シリコンバレー)あたりには、ガレージで虎視眈々と未来をにらみながら、黙々と開発に汗を流している青年がきっといる、と信じたいですね。

いや。必ずいると思います。
 

 というようなことを夢見ながら、そしてぶつぶつ文句を言いながら、私はPCを使っています。

OSとは、村芝居の舞台のようなものです。荒削りの丸太を組み、紅白の幕を張り、裸電球で照明をともす。 その上で踊ったり、お囃子を奏でる、芝居をする。 舞台は、あくまでも舞台上の人たちが安心して舞い踊れる、堅固で簡単に作れるものでなければならないと思います。 舞台の上のプレイヤーはソフトウエアです。

 

 今年、6月15日のニューヨークタイムズの記事に目が止まりました。

昨年、GoogleがジャーナリストやブロガーにChrome Bookの試作機を無料で配り、その意見を聞いたそうです。 その体験者の一人、ニューヨークタイムズの記者デービッド・ポウグの報告はこうです。

 (以下は要約。文責は私にある)

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「明日、サムスン・シリーズ5というChrome Bookが約$500で発売される。 一体クロームブックのコンセプトとは何か。 想像するに、1)今ではどこにいてもオンラインでなんでも手に入る。2)Googleのフリー・オンライン・ソフトウエアは、既出のソフトとほとんど同じことが出来る。 e-mail(Gmail)、ウエブ・ブラウザーChrome)、チャット(Google Talk)、写真編集(Picasa)、ワープロスプレッドシート、スライドショウ(Google Docs)。 結論として、ラップトップにはハードディスク・ドライブが必要ない。プログラムを搭載する必要がない。WindowsMacOS Xはいらない。ファイルやフォルダなどのデスクトップはいらない。必要とするすべてが、オンラインにある。したがって、ラップトップが必要とするものは、ウエブ・ブラウザだけだ。

これは魅力だ。ハードディスクがないということは、回転するものがないということ、したがってバッテリーの寿命も永くなる。軽くなる。サムスンの製品は、16ギガのSSDだけだ。
Windowsが必要ない、ということは、ウイルスやスパイウエアの侵入がない。 認証やコピー保護など必要ない。数年ごとにMicrosoftに払うアップグレードの費用もいらない。 立ち上がるまで数分かかっていたのが、クロームブックでは、10秒以下だ。 ラップトップにファイルの保存場所がないということは、万一自分のラップトップを失くしても平気だ。心配ない。バックアップの手間がいらない。他のクロームブックがあれば、同じソフトがいつでも使える。」

(この記事は、この後サムスンの製品の構造や仕様を詳細に報じているが、それは省略。) ポウグ記者の記事は続く。

サムスンのラップトップを1週間使った。常時オンラインでないと、思うようなことが出来ない。 emailはできない。ドキュメントを読むこともできない。音楽も聴けない。 Googleはこの夏以降にオフラインでemailやドキュメント が読めるように改善するといっている。 シリコンバレーにあるGoogleの社員が働いているような環境ならば、あなたも四六時中、あるいは一生オンラインでこれを楽しむことが出来るかもしれない。

次の課題はオンラインに接続する料金だ。ベライゾンはこの製品の契約に2年間の無料期間を設けた。 しかし上限は月100メガバイト。笑ってしまうような少なさだ。これでは何にもできない。 1ギガバイトにアップグレードすると、$20。5ギガで$50。 私は意識的にこのラップトップをメインマシンのように使ってきた。 しかし、1週間後には、このラップトップを、フリスビーのように空に放り投げたくなった。

オンラインのフリーソフトは、はたしてあなたの希望通りに使えるか?
基本的なものは確かに使える。しかし、ブランド品のソフト、Photoshop、Quicken、SkypeWorld of WarcraftFileMakerAccessは動くだろうか? あなたの会社で使う特有のアプリはどうだろうか? たしかにクロームマーケットプレイスには無料のソフトが1000ある。
が、そのほとんどは、あまり役に立たない。 他にも問題がある。停電したら自分のファイルにたどり着けない。

さらに問題がある。
GoogleはこのChromeはsuper secure(超安全)だと豪語しているが、現実はそう甘くはない。 最近でも大企業に攻撃を仕掛けるハッカーは続出している。 ソニーCitibank、Best Buy、Wal-Mart、TiVo、CapitalOne、Marriot、olege Board、Hilton、Ritz-Carlton、US Bank、などなど。現実に被害を受けた読者もいることだろう。

あなたは本当にクラウドが、自分のもっとも大切なファイルをしまっておくべき場所だと考えているだろうか?
サムスンのマシンを丸裸にしてみてわかったことは、どうしてこんなに大きく、重く、そして高価なのか。 同じ値段でフルスペックで、軽量、同一サイズのWindowsのラップトップが買えるのだ。 おそらく、クロームブックの値段が$500ではなく$180だったら売れるかもしれない。 学生や企業向けにリースで月$20か$30だったらヒットするかもしれない。 それに4Gのインターネット回線がフリーになれば話は変わってくる。

そうはいっても、Googleの高貴な実験に賞賛を送ろう。オンラインの未来に夢を託すことが出来る。 OS戦争に終止符を打つ開発者が現れて、みんなに大喜びされる日の来ることを願おう。

しかし、あなたにお金が有り余るほどあり、初物食いのマゾヒストでない限り、クロームブックは買うべきではない。」

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大いに期待していた私は、がっかりしました。