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80歳を越えた。身体が動かなくってきた。しかし思いは自由に羽ばたく。世界を駆け巡る。

初めてのインターネットショッピング

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 欲しいと思う原書が日本で手に入らないとき、思いついたのがインターネットショッピングでした。

英語の原書は日本橋丸善で買っていましたが、店頭にない場合は、取り寄せてもらうことになります。

そのころには、私はウエブでアメリカのe-commerceの店舗を垣間見ることが出来るようになっていました。PCとインターネット普及の始まりでした。


 欲しい原書は丸善では、取り寄せる時間が早くても約一か月かかり、それに航空便の送料は高いものでした。

その時は、ある本を早く手に入れたいという気持ちに駆られていました。 そこで、当時新興のe-commereceの旗手amazon.comにアクセスしました。

日本でも新しいビジネスモデルのパイオニアとして評判になっていました。探していた本はAmazonにありました。

しかも、丸善の値段の半分、いや、それよりももっと安かったかもしれません。驚きと喜びで飛び上がりました。

支払いはDiner's Clubのカードでできました。到着まで一週間くらいだったと思います。 しかし、手元に届いた本の包は、どういうわけか2個でした。同じ本がすべてダブって届いたのです。そうしてそんな事になるのか。Amazonとメールでのやり取りもしましたが、彼らは注文は確かに2冊ずつ受けたといって返金してくれません。


 注文の時に「買う-buy」ボタンを念のため、二度押したことを思い出しました。

これは私の大きなミスでした。返さなければ予定の倍のお金を払わなければなりません。仕方なく、ダブってしまった本は送料自己負担で返送しました。

当時のAmazonの購入画面には、今ではすべての購入サイトにある数量と金額確認の画面がありませんでした。


 生まれて初めてのインターネットショッピングは、私の知識不足から大きな失敗をしてしまったのです。

"Dereliction of Duty by H.R. McMaster" "The Fifties by David Halberstam" "The Living and The Dead by Paul Hendrickson" "A Time for War by Robert Schulzinger"  などの注文した本が無事届いたときは小躍りしました。

買った時期は正確には思い出せないのですが、この中の一冊の出版年が1997年となっていますから、それ以降であることは間違いありません。ハードカバーには、表紙をめくると、私の名前がプリントされたラベルが貼ってありました。購入した人の心がくすぐられます。

 書名を見るとお分かりの通り、すべてはアメリカのベトナム戦争への反省と批判と分析の書で、ベストセラーばかりです。

私は、正義と自由を旗印に掲げたアメリカが、どうして非道な戦争を起こしたのか。憤懣やるかたありませんでした。当事者のアメリカ人はどう考えているのか。反省しているのか、それとも当然と思っているのか。そんなことが読んでみたい動機だったと思います。


 どうして、日本のAmazonで買わなかったのか。と、きかれるとAmazon Japanは開業が2000年11月なので、まだ日本にはありませんでした。そして日本のe-commerceの業者の中には、輸入書籍を扱うところが一社もなかったのです。

とても高い講習料を払った初めてのインターネットショッピングでした。

 

 Amazon Japanが日本に上陸した時には、社長のジェフ・ベゾスが自分で商品を、直接都内にある家庭に届ける場面がテレビで放送されるなど、華々しいデビューを飾りました。

 私は初めは洋書、特にアメリカで出版されたものを買っていた。音楽CDも日本の小売店価格の半分以下で買えるようになりました。そして現在まで、扱う商品の種類は、あらゆるジャンルの膨大なものに発展しました。まさにe-commerceの成功物語です。

 

 話は飛ぶが、数年後、「間違いだらけの少年H」山中恒・典子共著」をAmazonに注文しました。発売から数年がたっていたから店頭にはありません。 注文してから数日後、在庫がないので探すから待ってほしい旨のメールが来ました。

なんと一か月以上してから、手元に届いたのです。この本は妹尾河童が書いてベストセラーになった「少年H」の内容の誤りを、史実を調べ上げて、詳細に検証し、ひいてはサブタイトルにあるように「銃後生活史の研究と手引き」としてまとめた845ページにのぼる膨大な力作です。

値段も税別で¥5,600。書評を書く場所ではないので、これまでにしまう。お話したいことは、このとき初めてWeb2.0という言葉を知ったことです。

 この本を探してくれたAmazonは、Web2.0の持つLong Tail(長い尾)を利用していました。 出版当初は店頭に平積みにされて大きな部数が売れた本でも、時が経つにしたがって急速に売り上げが落ちてゆきます。しかし、その本を求める人は年数がたっても少数ながら存在します。

これを図解するとLong Tail(長い尾)になります。私が求めた本は、インターネットなくしては探せなかったかもしれません。実店舗では、過去に出版されたすべての書籍を展示したり、倉庫にしまっておくことなど、とうていできません。これは規模の大小を問わず、実際の書店を見ればわかります。私は知らないうちに、このLong Tailの中にいたのです。


 Web2.0は我々が無意識に、日常で使っている環境です。詳しい解説はWikipedia に任せるとして、大分以前から私はに興味を持っていました。この種の著作の中で感銘したのは「ウエブ進化論・梅田望夫」でした。この本は2006年に出版されました。

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これを読んでから、私はWebつまりインターネットの世界に、大きな可能性と広大な未来を描くことができるようになりました。梅田氏の素晴らしいところは、どんなに悪意を持った人間がいても、ウエブの未来に常に楽観的であること、つまり人の知の可能性を信じていることです。 WikipediaWisdom of Crouds(群衆の叡智)から成り立っています。誰でも書き込めますが、その前提は「人間は善である」ことです。アメリカのネットショッピング大手eBayの創立者ピエール・オミダイアは、Web2.0とは何かとたずねられ、
「道具を人々の手に行き渡らせるんだ。みなが一緒に働いたり、共有したり、協働したりできる道具を。(人々は善だ)という信念から始めるんだ。そしてそれらが結びついたものも必然的に善に違いない。そう、それで世界が変わるはずだ。Web2.0とはそういうことなんだ。」と答えている。−ウエブ進化論から引用。

 梅田氏はさらに「アンチ・エスタブリッシュメント的気分とオプティミズム(楽天主義)が交じり合ったシリコンバレー精神が、Web2.0の背骨になっていることが、この一言からよくうかがえる。」 
と言います。